返事をするのはエコゥテばかり。怒ったチャームはぐいっとロップにつめよりました。
「‥‥ちょっとロップ!!聞いてんの?」
草原に腰をおとしてぼーっとしていたロップはあわてて返事します。
「え?ああ、聞いてるよ。えーとね、だからいい風を見付けて、それに乗るんだよ。体全部を風にまかせるみたいに‥‥」
不満気なチャームはさらりと言いました。
「じゃあやってみせてよ、センセイ。」
そう言うとチャームは、ロップの頭に乗っていたエコゥテをひょい、と抱え上げました。やれやれ、といった顔でロップは腰をあげて高い場所に立ち、空を眺めます。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
ロップは何かを待つように、じっと立っています。その姿を離れて見つめるチャーム。抱えているエコゥテのたんぽぽの綿帽子みたいなしっぽとチャームのやわらかくて淡い桃色の耳がふさふさと風になびいています。
「‥‥やっぱり駄目だよ。」
「?駄目って、何が?」
あきらめた顔でチャームに話し掛けるロップ。チャームのそばへ戻って来るとやる気なさげにすとんと腰かけました。
「クロノアがいなくなってからずっとそうなんだ。」
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