突然竜と共に現れた青年は湖から上がり、プルゥの方へと歩いて行きました。水にぬれた栗色の毛がきらきら光っています。
その青年をプルゥはよく知っていました。赤いスカーフに緑の服、そして愛竜ヤーフと共に旅をしていることで有名な若い冒険者として……。


「しっかし、よく俺のこと知ってたなぁ?まだこのへんは来たことないってのに。」
プルゥのとなりに腰をおろしてとしゃべっているパッシュ。そう言いながらもパッシュもまんざらではないらしく、うれしそうににこにこしています。
「僕もパッシュみたいな冒険家になりたいんでち!クロノアみたいな勇者になりたいんでち!だから僕、冒険家のこと色々調べたんでちよ。」
うんうん、とにこやかにうなずいていたパッシュが、動きを止めます。
「クロノア?誰だそれ?」
「それにしてもさすがはパッシュ、大冒険者でち!もうこの国の事件を聞きつけたでちか?!かっこいいでちー!クロノアの次はパッシュがこの国を救ってくれるんでちか?!やっぱり勇者はかっこいいでちー!」
きらきらと目を輝かせながらプルゥはしゃべりつづけます。
「いやおい、人の話を聞けよ……って、事件?」
実はただのバカンスに来ただけのパッシュがすっとんきょうな声をあげます。
と、そこにヤリを持った兵隊たちが何人も駆けてきました。
先頭を走る兵隊が叫びます。「プルゥ〜〜!大丈夫でちか〜〜!!」


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