兵隊たちは大きなヤーフを見てどよめいています。並んで槍をかまえ、お互い背中を押し合っています。でも怖くて誰も近づけません。
「違いまちーー!怪物じゃないでちー!ヤーフはいい竜でちー!」
叫ぶプルゥにさっきの兵隊が駆けよってきます。
「プルゥ!どーゆうことでちか?!大丈夫でちか?!」
「この人は冒険者のパッシュでち。竜のヤーフといっしょにこの国を助けに来てくれたんでち!」
なぜかいばって言うプルゥの言葉を否定する暇も与えてもらえず、パッシュは不思議そうな顔をした兵隊たちにとりかこまれてしまいました。
そこに現れた兵隊の一人、プルゥとしゃべっていたその人はプルゥのお父さんでした。
彼はパッシュに最近この王国周辺での出来事を説明してくれました。
その話によると、最近飛び魚の怪物たちがたくさん出没するようになったそうです。
夢のかけらを食べて大きく、強暴になった飛び魚たちがこの国を襲っているのです。
王国中心部からわきあがっている水源は、彼らにとっても最高のすみかだからです。
「でも、飛び魚くらいならなんとかなるんじゃないのか?この国の王様だって巨大魚にまたがる立派な騎士だって聞いたぜ?」
「やつらのボスが問題なんでち。」
うんうん、とうなずく兵隊たち。
「やたらと頭がよくて、他の飛び魚たちを指揮して攻めてくるんでち。」
うんうん。
「じゃあ、そのボスを倒せばいいんじゃないか。」
「倒そうにも手ごわい上に、もうすこしのところまで追いこんでも引き際を心得ていてうまく逃げるんでち……」
うんうん。
「逃げ足も速いでち……」
うんうん。
「パメラも王様ももう歳でち……」
うんうん。
悩む兵隊たちを尻目にプルゥがつぶやきます「……カッコ悪いでち……。」
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