「……プルゥ、おまえ勇者になるんだろ?
いいか、本当の勇者っていうのはな、自分のするべき事をしっかり見詰めて、自分で選んだ道をまっすぐ進んでるやつのことだ。」
「…………。」
うつむいて黙ってしまったプルゥ。でもパッシュは熱く語りつづけます。
「おまえのオヤジは間違いなく勇者さ。おまえや家族を、国を守るために毎日真剣に生きてるんだぞ?どんなことでも、自分で道を選ぶってのは勇気のいることだ。本当にかっこいいってのはおまえのオヤジ達のことさ。」
ぐっと握りこぶしを震えさせながら、プルゥはパッシュの瞳に負けない熱さでパッシュを見詰め返します。


「オヤジを見返したいんだろ?じゃあ、おまえはおまえの勇者になれ。
自分のできることを、しなきゃならないことを、勇気を出してやってみろ。
……わかるな?」
歯をくいしばってプルゥはうなずきます。力いっぱい。

プルゥはくるりと背を向けて走りだしました。 そして迷わずに川へと跳びこみます。

ざぶん!


あっという間にプルゥはごうごうと流れる川に飲み込まれ……。

パッシュもさすがに不安でしたが、はるか彼方の川面にちらりちらりとプルゥのしっぽが見えはじめたのを確認すると、うれしそうににやりと笑い、ヤーフにまたがります。
「行こうヤーフ、俺も俺の仕事をしなきゃな!」


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