そして‥‥。

陽も落ちはじめて空が朱色にそまるころ。
王国から飛び魚の怪物たちはみな追い払われていました。もちろん、パメラにまたがり戦っていた王様と、王様の率いる兵隊たちの活躍です。
へとへとになって座り込んでいる兵隊たちのところへとプルゥは歩いて行きます。
「おとうさん……。」
「……プルゥ、もう大丈夫でちよ。」疲れた顔で、にっこりと笑う父親にプルゥは抱きついてわんわんと泣き出しました。
「今日の勇者はおまえでちよ、プルゥ。おまえのおかげで飛び魚からこの国を守れたんでち。
おまえは冒険者になるんだろ?じゃあもう泣いちゃだめでち。」
ますます声を大きくしてプルゥは泣きじゃくります。
「僕、僕、もっとちゃんと考えるよ!それから兵隊になるか冒険者になるか決めるよ、お父さぁん!」
その声を掻き消すようにまわりの人々がわっー!っと歓声をあげました。
やさしくプルゥを離して父親が言いました。
「ほらプルゥ、もう一人の勇者が帰ってきたでちよ。」


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